黒鉄ヒロシ大先生の傑作 「喪服おばさん」は、死者の前に行って、「この度は・・・」と言ふ喪服を着たおばさんの話である。どっかで呉智英先生が「死に神もの」として紹介してゐた筈である
死地へ赴くやくざ屋さんが、逡巡するおばさんに見送られながら出ると 実は といふのが結構面白かったり、おばさんが「このたびはー」て言ってるのに、ちゃんと広島へ煙草を買ひに言ってるのに自覚がない歴史上の人物がゐたり、死に関するネタで結構笑はせる。
で、「鬼灯の冷徹」では、その喪服おばさんのやうなポジションは、「お迎え課」が死者の霊を持って行く、特殊なものは火車と言ふもふもふにゃんこが拾ふ、といふ設定である。
折口信夫先生の言ふ、「日本人の霊魂観は 魂魄等の分類がない」説が発動してゐるんだかゐないんだかわからないが、お迎え三連星の皆さんは同じ部署で同じ物を復唱してゐる。
ここで復唱するものに
「ご愁傷様です」
といふのがある。多分死んだばかりの亡者へ言ふ台詞で、先述の「この度は…」に当たると思はれるが今のところ不明である。
追記 で、奪魂鬼が出た魂を抜く~奪精鬼が生命活動を止める~縛魄鬼が腐らせると言ふ解釈で、ソウルとスピリットのやうな区別ではないのであった。
今回読んでみたら、火車の他に小判にゃんの舌もざらざらしてゐる。藝はこまかかった。