五行 メタル編

耳嚢 で「お屋敷の毒見役を「おに」と言ふのはどういふ訳か」と言ふ話があった。

 根岸肥前守様は結局謎の解明にたどり着けなかった。

 ・・・当時の厨房にあたるところには「白沢が鬼を斬ってる絵」が懸けられてゐたと言ふ解説があった。おいといて。「寺で狸が絵描いた話」があった。耳嚢では具体的に何を描いたか書いてなかったが、杉浦日向子先生の「百物語」では、「呵々大笑した布袋図」であった。ネタ元があるにせよ、それを選択してしまふ点は、五行説のバイアス、金はふかふかもふもふして、白くてでかくてぢぢむさく、口が強調され、殺戮と改革と道路を司ると言ふバイアスに則ってゐる、らしい。確か布袋様は「西方兜率天で修行中の弥勒菩薩」なので西=白=金性だと言ふのがどっかにあった。

 「となりのトトロ」に関するもので、監督は「ネコバスを風の精霊と解釈してくれると困る」旨のことを言ってゐたが、風と解釈してくれると困る(金は風の属する木をやっつける)、道を司る猫系の化け物は、東洋のバイアスである。「幻獣大全」では「トトロは風の精霊らしい」と書いてあった。で、「ふかふかのもふもふが金」なので、鬼灯の冷徹において、「火車(なんと言ふ示唆的な名前!)が「メタリックなものとしての」ドラ〇もんに憧れる」シーンがある。