兎と冥府

南方熊楠は ウサギの別称として、「巫伴(みことも)」「露偸(つゆぬすみ)」といふ語があるとしてゐる。ていふか南方翁のころすでにアマミノクロウサギが発見されてゐたのか、はー。

 で、「アルゴンキンの英霊は死後兎形の神ミチャボの元へ赴く」さうである。なんつうか、であるが、一応ノウサギは、あのーマーティン・ガードナーがアリス関係で「MARCH HARE」説の起源に、「三月は兎が発情すると言うのは嘘で、年がら年中サヴァットやってるし」と言っていた筈である。なので、英雄の言訳で、「うさトーテム」はあるらしいのである。うーん。

 で、「古代エジプトの日神ウンはメス兎」と言ふのが紹介されてゐる。月で餅搗いててくれないと困るわけである東アジアのバイアスで一応解釈するならば、卯は冒と同音なので、「太陽が大地を冒し(をかし)て出る」と言ふわけらしい。

 

 でエジプト関係の本で、神様で紋所が雌のノウサギと言ふ「南(うえ)ヘルモポリス 旧名UNW」といふのがあった。因みに北(した なんか五行説と被る)ヘルモポリスは難解で有名な神話やアモンがどうのであるが、アモン&アマウネト クク&カウケト の神名はコプト語による「ふとんが吹っ飛んだ」レヴェルのダジャレならしい。

 で、どっかに「エジプトの冥界ではノウサギがいっぱいゐる」といふ説があったはずであるが、どっか行った。さらには、『世界秘儀秘教事典 』によると「ウン・ネフェル」「図説 エジプトの神々事典 」によると「ウネン・ネフェル(恒の正義)」といはれる、オシリスは、イシスと共に兎と関連するらしい。 「鬼灯の冷徹」にこの辺でてこない。

 でもって「卯(双葉かなんか 白川静説で「お供への肉を切った形」あと扉説があった)」は貌(具現化かなんか)と同音である為、デミウルゴス的な「形造る」ナニがあるはずであるが、鬼灯の冷徹では唯「作者が飼ってたウサギがときどき満月薬局で描かれる」だけだなぁ。

 超能力がお椀型にくぼんだ形で表される、と言ふのが大友克洋作品のエポックなアレであるが、ここでサイキッククソガキャどもが超能力使ってる際の演出で「ウサギのぬいぐるみが浮いてる」といふ謎描写がある。大友克洋大先生が超能力の言訳である採り物で兎型のナニを選んでゐる感じがない。キヨコ様のてのひらの数字がまうでとる。でこちらの「誰がどう見てもロリババア」は採り物でもふもふやカプセルや兎を使はない