正体性と近代主義

アイデンティティ の訳語が正体性 であると言ふと、

「それインターネットでこいてるのは俺だけ!」

な事態ありさうだなぁ。呉智英氏が言ってたんだけど、で、その関係では、「アイデンティティがないがしろにされる」のが近代思想の普通ださうである。

 さう言へば、ソ連の宇宙飛行士(一応)を取材した、「スプートニク」では、イワン・イストチニコフと言ふ「人民の英雄で、諸般の事情でいなかったことになった人」は、小さいころ独ソ戦において、「ビルの上から爆弾抱へて戦車の上へ突っ込み、爆弾置く」と言ふナイスな方法でお国のために戦ふ、無敵の男で、その前、「ママは判明してるけど、母方の爺さんが不明」であり、ばあちゃんがレイプされたんだらうといふ不名誉な噂は、一応ダーッと出てダーッと消え、その後イワンがパパやママの形質にない収集癖を発動させたので、周りから「架空のレイプ魔の血」であらうとされる。

 

 いろいろあって、宇宙への憧憬をそのまま職業にする幸運を得たイワン・イストチニコフは、ああクラスターノズル のロケットに乗り、クローカと言ふロシヤんわんこと共に宇宙へ旅立つ のであるが、宇宙飛行士の人は孤独に耐えきれず、死にたくなったさうであるが、その対策として、「地上の基地とチェスをやって、実は地上の基地の人はわざと負ける」と言ふナニをやってゐるのであるが、イワン大先生は、若いころソヴィエトチェス大会で結構優秀な成績を収めると言ふ世にもおぞましい経歴を持ち、ま当然のやうに、ストレスがたまってる気がする地上の「実はわざと負ける」カウンセラーの人が、いつの間にかガチンコ勝負をし、で、といふ事態があって、 ブレードランナーのレトリック(タンホイザー門とか)が出てくる、鬱になったイワンは、謎の隕石に連れられて消滅する。

 日本語訳ではさういふ訳なのに、「普通のドキュメント」として売られる。アイデンティティの搾取は事実っぽいけど、あのー、謎の隕石はー。