欧州エキゾティック

 渓由葵夫「聖剣エクスカリバー」 五巻の最後に確か源義経とテムジンが出てきたが、『第一部』でなくて『全五巻』らしい。『名機オスプレイの呪い』にはさう書いてあった。

小学館ラノベの前身の文庫から出て大失敗した作品

作者は関西人で、トンデモ本大賞受賞の経歴を持つ。高校生の兄ちゃんが二人と姉ちゃんが一人、「キリスト教の無い中世ヨーロッパ」へすっ飛ばされて、悪魔とアーサー王となんぞ神々をこき使ふ女帝になる話である。

 作者は「北欧と書いてケルトと読む」神話があると思ひこんでゐるらしい。その原典によればクーフーリンは北欧の英雄で、オーディンと関連し、最後は十字架にかけられる。と大真面目に(「とかでっちあげました」語りでなくて、何度でもいふ、原典がさうだと)書く。あらゆる本によれば、ケルトの英雄で、最後は石に自らのからだを巻いて立往生である。他つっこんだらきりがない。

 キリスト教を抜いた世界であるが、「ルシファー」「セントアンドリュース『寺院』」等のタームが出る点を指摘し、「でも全然違和感ないでしょ?」と言ふ。聖アンドリュー(アンデレ)の方がキリスト教のタームである。てふか、キリスト教のタームを抜いて、違和感仕事しろ世界を作るのが小説家の仕事である。

 

まともな方 ケルトのショーンこと死鬼あれ紫苑さんが、仏教をベースにした世界で、謎の輪廻に基づき、地獄の針の山から出る何かでの悪さとそれを回収するため、牛頭と共に六道を跋渉する。ヴァルハラといふ語が出る。