イネ 

 佐々木高明『南からの日本文化』

 佐々木高明 中尾佐助とか(『もののけ姫』のネタ提供の先生)によると、人類は「禾本科の一年草」を栽培植物にした(『栽培植物と農耕の起源』岩波新書)さうであるが、日本の先人が喰ってたらしい「弘法麦」は多年生である。これは栽培植物でないのでまだいいが、さう言ふわけで中尾 佐々木派は「中東で発生した地中海文化(麦 家畜)」「アフリカ西部で発生したサバンナ文化(粟 稗、ヒョウタンなど)」「アメリカン文化(トウモロコシ ジャガイモ等)」「東南アジアのお芋さん文化(根栽 バナナ サトウキビなど)」の四系統が 飛んだり跳ねたり滑ったりして日本へ傳播 といふ説なので柳田國男の「山かけご飯モデル」とも言ふべき「麦と山芋と米を一緒にする」農耕文化の捉へ方は否定してゐるのだが、佐々木先生が沖縄の文化を調べてゐたら、「ひつじ育成栽培(佐々木先生は「ヒコバエ育成栽培」と表記)」といふ、「冬作物であるイネを一回穂刈る形で収穫し まう一回取る」と言ふものがあったさうな。

 森島啓子『野生イネへの旅』『野生イネの自然史』

 こっちは、「一年草ていふか植物」をドメスティケーションしたんぢゃねえか説の人が書いたもの。

 ピーナッツもさうであるが、アマゾン川に生える「浮草期もある浮稲」オリザ・グルメパテュラ(Oryza glumaepatula)は、川流れを利用する種で、発芽して、結構アマゾン川の、あの気の狂ったやうな水量の変化にある程度浮稲として適応し、花が咲くとかの辺りで、先っぽが浮草になって漂ふ。

 南米の人は、コメを喰はうとしたが、その辺に生えてゐるのは粉食に適さないので断念してゐる。

 ニジェール川あたりの土人系と東アジアの人以外で、水田のやうな物を作るのがゐないと言ふ証明でいいと思ふ。

 ずんどこ脱線すると宮崎氏がアニメ化を熱望してゐた「墨攻」(酒見賢一 新潮社)の、後に劇場版実写映画化するマンガ版(ややこしい)のオリジナル設定で、「日本のコメは墨家バイオテクノロジー部が開発した者」と言ふのがあった。