原理的なカルトを描く

天才、いしかわじゅんが、何かを遂げた作品集で新潮社から大昔出た。  いいけどヤングマガジンで掲載された奴を、エロ雑誌で掲載されてゐた奴と合はせて売るといふ、かっこいい真似をさらす新潮社は、それから、こっちでカルト教団とか呼ばはりする創価学会の息がかかりまくった潮出版のマンガの適当なやつを売るとかした後に、自分とこで描かせたマンガ売ると言ふ、「雑誌やりませう」とかいって、コミックバンチ(いしかわ先生によるといい仕事をしてゐる)作って、島本和彦大先生へなんか描かせるとかに行かない。

 約束の地 普通に東北のイエス伝承が語られる。  大御所である諸星大二郎大先生の、「生命の木」は東北のイエス伝承 バスチャン傳承その他からトウホグのイエス伝承をでっち上げたものであるが、こちらはアレ。籠目紋でなくてソロモンの印が出たりする。 「20世紀少年」ではドラマーの「ハルちゃん」こと「波 春夫」とやらが出るが、こちらでは「老若男女が入れ込む」男村田春夫が登場する。今見ると恐るべきカリスマである。

 CULTなので使徒もアグリカルチャーをさせようと促す「近代性農夫病ウィルス」。 なんか、農夫病ウィルスの分離に成功した出渕さんが怖い。

  憂国 掲載誌の編集をやってゐた人がモデルの「高取英」に「金沢明子が好きだー」といふ設定をつけたら何か面白いと言ふインスパイアが降臨した物と言ふ。

   右翼 左翼、日蓮宗徒 オカルト関係の中に、金沢明子カルトと言ふ独自のナニがあり、それが反体制活動をするので、金沢明子の歌禁止令ができる。でも民衆を立ち上げる作業は功を奏し、体制に反抗を始める。一方 弾圧が始まり、地下へ潜った金沢派は、抵抗するものの、首魁である金沢塾塾長いしかわじゅんを公安に取られることになり。

 イデオロギーのエンターテインメント性が、まったく異なるもの各々でこの場合金沢明子様と言ふ麗しのディーヴァにより高まると、まったく別のイデオロギー集団が糾合してしまふと言ふ異様な作品。ラストのアレは、いろんな意味で鳥肌が立つ。