パトリオティカ

 

 作者の新井素子大先生は、関東ローム層の上にお住まひで、

 関東ローム層の上で育った自分、に自信を持ちまくってゐる。

 その大関ローム層の上にふんぞり返る大練馬で、「白菜とか大根とかを育てて」それを食って育ったと自負する。

 そのいろいろを、作中に入れる。厳密には地方出身の旦那から、

関東ローム層みたいな貧しい土地でろくなものは育たない」

 と言はれて激昂した、とかを、作中(SF作家なので原子力一家でヒロインが陽子さんでちゃんと旧姓が原だけど)襲ひ、

 適当なマンションの物件へ行き、「犬猫の飼育禁止」と言ふものを見つつ、紹介された部屋が一階である点を説明された、二人の、ヒロインは乗り気になるも、後の旦那は却下する。
 嫁は、ガーデニングができると言ふ魅力が、と振り回すも、野郎の方の
関東ローム層でろくなものは~」
 と言ふのに、彼の「マンションの一階に住むのは嫌」と言ふ、納得のいくものを無視して、耕作地としての大関ローム層、練馬大根があるとか、自分は関東ローム層の上で育った小松菜とピーマンとナスと落花生と大豆とほうれん草とトウモロコシとそばと隠元とササゲとトマトを食ってここまで育ったと力説する。
 そこで売り言葉に買ひ言葉で、アレした野郎へ、後の嫁は結婚の破棄まで持ち出す。

栽培植物だとあんな貧しいところでも愛郷心が湧くのだなぁと言ふのに微妙に納得するわけにいかんなんかがあるが。

 大ネリマ伝説。