アメリカ人の関係の

 パオロ・バチガルピ

 アメリカ人(コロラド生まれらしい)で、両親がヒッピー。

大学時代に支那へ行き、ちょっとお仕事して、1996年帰国。その後コロラドへ行ってなんかする。ウェブの開発をしたり雑誌の編集したりする傍ら、えすえふを書く。

 支那を舞台にしたのを一回くらゐしか書いて無いが、支那人が出てくる話を何回か書いてゐる。

なんか知らんが2012~3、4年ころのブックオフ(長野の)で早川コーナーにフィリップ・K・ディックだのハインラインだのの間に一冊くらゐあった。謎。

 サイバーな感じのナニがあったり、お子さんを作らんでいい所で子作り~出産する犯罪者が出たり、水を独占する都市と、搾取される田舎の話とかを展開。

 フル―テッドガールズ(遺伝子組み換へでなくて、その辺の娘さんを改造して楽器にする)とか、あるのだが、共通する世界を扱った小説のナニをソレする。

 WINDUP な世界。

 石油が枯渇してゐる。ので何となく石炭の方が注目され、その後、発条発電によるクロックワークな世界が展開。趣味で作られた、チェシャ猫と呼ばれる、物語設定的に実在するんだかわからんぬこ(光学迷彩レヴェルで体色が代る)が、繁殖しまくって鳥を取り尽くしてゐる。ほか、「ニッポン・ジーンハック・ゾウムシ」だの「象牙甲虫」だのが猛威を振るひ、タイ以外は大変なことになってゐる。

 そんなわけなので、百姓は作物を売る会社から穀物とかを買ふ。これはその凶悪な害虫が喰はない代り、不稔性らしい。で、発条巻係の(遺伝子組み換へ済)ゾウ、メゴドントの餌を作ってるところとメゴドント飼育組合がめちゃくちゃ強い力を持つ。

 遺伝子組み換へのデザインに除草があるらしい。さういふ稲が名前だけ出てくる。そんで以て秋津島では人造人間(出てくるのだが、都市伝説扱ひで語られる人造人間も出てくる)が作られその辺でコンパニオン的とかの目的で元気に働いてゐる。なんぞぎくしゃくしてゐる彼らは「WINDUP(ねじまき)」と呼ばれる。さらにお蚕さんが飼はれてゐるらしい。人造人間の人は、日本以外では何となく敬遠されてゐる。遺伝子組み換稲とかは、リアルな奴のお豆さんとかと同じ扱ひで登場する。

 一応アメリカあるけど、結構な文明圏はタイくらゐらしい(京都は文明圏ぽいけど)。

 東アジア系の文化を消化吸収したおっさんがアメリカ人向けに書く世界としたらこんなもんだと思ふ。

 

 第六ポンプ ポケットの中の法(ダルマ ひとy いいや)

 フル―テッド・ガールズ

 砂と灰の人々 なんか 共生虫のゾウムシが、説得力を持つ。謎。

 パショ

 カロリーマン 栽培植物の関係のナニ。

 タマリスク・ハンター 水の独占てあんた。

 ポップ隊 お子さんを作る犯罪者取締隊の話。

 イエローカードマン 恐るべきマレーシアの大虐殺から負け出てきた、嘗てのお大尽のおっさんがタイで何とかする話。そのぢぢいは『ねじまき少女』にまた登場。

 やわらかく 奥さんをアレする話

 第六ポンプ おバカになった世界でアレする話。

 『ねじまき少女』 タイでねじまき少女と謎の発条屋さんとそこの従業員とタイの守りの要がいろいろする話。

なんぞタームの関係でなんかあったらしいので

  魔使いの弟子

 SPOOK がなんなのかは不明。少なくとも、魔物に対してその辺のナニで対抗するものの呼称として使はれる。

 邦訳の際、「畑」と訳されてゐたタームは、そこで酪農をやってゐる関係で、文庫化に当たり「土地」となったさうである。

 毛唐はさういふわけで(中尾佐助説)、百姓は家畜を飼ふのがデフォなので、家畜の飼育が微妙な秋津島では、耕作地を訳す際、そこに家畜がもふもふしてると、ちょっと翻訳に逡巡が出るのである。

 「日本語大辞典」(全部買ひたい 書棚の肥やし以外の何物でもないが)によれば、“ひつじ”は、「養す獣(ひだすしし)」から、と言ふ説があるさうである。獣の養育が珍しかったとかの証左でいいらしい(あと「屠畜儀礼がひつじなので」「屠畜の際のひきたつしにから」「毛を刈った後に生える様が稲の孫稲(ひつじ)みたいだから」説が挙げられる)。

あとロバの輸入が異常に遅いと言ふのがあるらしい。

わんことぬこはー。『枕草子』で命婦(ぬこの名前)とか翁丸(犬の名前)とか出てくるのだがー。

銃・病原菌・鉄拳

J・ダイヤモンド説に基づくヤックルさん。

aエサ(なんでも食ふ)、b成長速度(速い方がよい)、c繁殖(人前でセックスしてくれるの)、dパニックに陥ったら(皆でぢっとまつ。てふかe長がゐる集団生活をする)、f気性(大人しいの)  

もののけ姫』の 厳密にはアカシシ。なほリアルカモシカは、「雑穀食わん」関係で家畜にならなかったさうである。なんか飼育せんとする(ニク(褥)用にファーが取られ、肉の方も確か取られ、角は癒し系として珍重されたので。カモシカあるいはカモシシのカモもカーペットの意)需要はありまくったらしい。

餌 辛うじて、負け出てちょっと後「炒り麦のようなもの」を食ふシーンがある。  

繁殖 成長速度 不明。  

パニックに陥ったら ビビるシーンが冒頭。  

集団かどうか 完全に不明であるが、アシタカさんへの忠誠心は凄まじい。

 『シュナの旅』の ヤックル。

餌 乏しい食料がどうたら。多分なんでも食べるみたい。  

繁殖 「いつもうえ、なかなか子を産もうとしない」ながらも何とかはしてるらしい。 成長速度 パニックに陥ったら 謎。  

集団生活 集団でもふもふしながら時代から取り残された谷底で暮らすシーンがあり、シュナさんへ忠誠を誓ってゐる。

 ジャレド・ダイアモンド著 倉骨彰訳『銃・病原菌・鉄』

西欧の農耕

 西欧の視点で、農耕を描く。

 なので畜産をオプションとして当然のやうに描く。

 西欧では「嘗て散播」であったが、18世紀、イギリスで種まき機(ホッパー)が発明され、それによる条播で、効率的な発芽がうんたらかんたら、と書いてある。散播のデメリットも描く。

 イネ文化は紹介されるが、こっちをやってゐる東とかアジアの雑穀文化は七千年前から条播なのだが、それの伝播がどうとかは無し。「ローマ帝国でも古代中国でも条播は行われていた」で終り。

 三人ガリデブ には条播機(DRILL)と言ふタームだけが出てくる。はい。

お茶

お茶関係

 苦いので五行関係では火。なので火属性の達磨の瞼からとかの伝承がある。

 

 アイザック・アシモフによれば、アメリカ人は当初それを飲料だと知らず、なんかお湯に入った野菜だと思って、湯を捨ててゐたさうである。

 

 ただ単に無知無教養のなせる業だけでなくて、支那の奥地では、「茶葉の漬物」があるさうである。食へるんだな。

 ド根性植物だとか、(葉っぱ刈り取っても平気なんだもんなぁ)紅茶はもともとああいふのもある(十年くらゐ前まで「失敗した」がたまたま飲料になったので説だと思った)だとかはいいや。

食べる御茶とかが収録。

田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】第三話:赤塚不二夫と新宿の名店「山珍居」(http://r.gnavi.co.jp/g-interview/entry/1471)について記事を書く

食べるお茶関係の記事あり。

うんこで地獄体系

 センセーショナルな語りで一世を風靡はした著者による、うんこがへんないきもの

フィリピンの、夥しいコウモリがゐる洞窟を、「地獄」と称する。

 

 洞窟の下はゴキブリとカニが這ひ回り、落下する蝙蝠を待つ。また、壁には蝙蝠食蛇が、蝙蝠を食らはんと待機してゐる。

 

 そのやうな所を紹介し、虐殺の場であるといふ点を強調する。

 

 バットグアノも描く。

 

 そして、蝙蝠はうんこをどうやるのか、と紹介し、「ほら面白いでしょ」とやる。

 

 笑はかし 虐殺 うんこ(バットグアノは滋養の塊である なので地獄のお約束であるパワートランスファーをフォローしうる) と地獄の体系化がなされてゐる。

 アマゾンはすごいのである。うんこも売ってるのである。

 しかも、蝙蝠のうんこは鶏のうんこや牛のうんこより高いのである。

 鶏のうんこなんか十五kgで二百円出すとおつりがくるのである。

クラゲ関係

 

 一応クラゲの本。

 エチゼンクラゲの大発生について、注視するべきと勧告。

 コトクラゲ、さういふわけで昭和天皇陛下がご発見あそばされたあれの他に、まう何種類か、しかも比較的浅い海にも生息してゐる旨を報告。

 てふか、コトクラゲは厳密にはくらげぢゃないんだが、描く。

 他に、オタマボヤと呼ばれる、脊椎動物に近い生き物も紹介。この方はオーガニックな素材でハウスを作り、その中で、海鞘力(尻尾をひたすら振り続ける)水流を起こすことよる「餌をかき集めて他をろ過するシステム」を、使って飯を食ひ、しばらくするとその外壁へ藻が繁茂するので捨て、また作り、を繰り返す。

 金子隆一先生は「エディアカラ紀、クラゲっぽい生き物はいたのだが地べたへのたーっとしてた」説を唱へてゐたが、それを襲ふ本書は、でも刺胞生物が当時から出てはゐたと主張。さうなんか。

 


泳ぎ続けるホヤ「オタマボヤ」 Larvacea(Oikopleura dioica)

 

 サカサクラゲ の褐虫藻との関係、に関し、褐虫藻と酸素とクラゲの関係、藻は太陽光にあたらないといけないが当たると困るので、クラゲがカシオブルーなサンシェードをつけると言ふ、面倒な共生関係があると描く。