お酒の関係

 中尾佐助著作集第二巻

 

 中尾先生は、インドで飲酒の文化が無いと言ふ。カーストのまとも関係は飲まないのだが、下層民は密造酒をよく飲むさうである。そんで以てお酒関係があまり出回らない。

 とてもややこしいのだが、インドで完全にないわけでなくて、マフゥアと言ふ、喰ったらうまい花を蒸留して酒にする文化は四世紀に成立してゐるさうである。

 そんな訳なので、このマフゥア酒は英国人から「ネズミのような匂い」とか言はれてゐるさうである。

 中尾説では、このお酒が西へ傳播してお酒になったらしい。

ロゴスの関係で

 石川淳選集 第14巻

 

 『五十音図について』『ことばに手を出すな』所収

 新かな使いは母音を破壊してゐるといふ指摘はある。

 五十音図を使へなくしてゐるといふ指摘もある。

「言わない言う言えば言おう」と言ふバカなワア活用でなくて、歴史的仮名遣なら、言はない、言ふ、言へば、言はうのハ行活用で一發だ、は、あー。

 

かのアレ

 

 中尾佐助著作集

 相変はらずリーダビリティは普通。

 南米の土人がパラゴム(種を油糧として使用)を、部落へ持ってって捨てる、と余ったゴムの木の種が部落の周りで発芽し、なんちゃってフローラができる、といふ事例を出して、農耕の前段階を説明する。

 あと南米繋がりで、「アマゾン水田化計画」とか書いてある。そんでその候補に、早熟系の種類を上げ、水がついてる段階で水上トラクターとかで収穫、脱穀、乾燥まで行ふとかの案を出してゐる。

 日本の竹笹フローラが発狂してゐるのは、笹とか竹ブラウザーに当たる牛かの生き物がゐない(カモシカぢゃだめらしい)からとか書いてある。

 前のやつをうりゃっと収録してゐるので、「ラビ農耕」「カリフ農耕」と言ふ呼称。

 すげえ示唆的。

大御所関係

 藤子・F・不二雄エスパー魔美』第五巻

 

『ドキドキ土器』

刊行が1981年。劇中で、出てくる考古学の先生は、縄文農耕説を唱へてゐる。

先生は、「土器に入ったイネ」を探してゐる。

 その先生の説に対する反論で、「芋ほり(ヤマイモ系)」が出る。それについて、ヒロインは

「喧嘩はやめて」

系のセリフを吐くが、先生はそれについて「議論である」と言ひ、

「もちろん!ヤマイモのようなDioscorea属は、アメリカ人の説でもっとも原始的な農耕によって栽培されていた植物と考えられているんだ! 

 わしはそれを我々の祖先がやった可能性があると考えている!」

 とかには基本行かない。

 シコクビエのプラントオパールが発見され、とかはなし。

アメリカ人の関係の

 パオロ・バチガルピ

 アメリカ人(コロラド生まれらしい)で、両親がヒッピー。

大学時代に支那へ行き、ちょっとお仕事して、1996年帰国。その後コロラドへ行ってなんかする。ウェブの開発をしたり雑誌の編集したりする傍ら、えすえふを書く。

 支那を舞台にしたのを一回くらゐしか書いて無いが、支那人が出てくる話を何回か書いてゐる。

なんか知らんが2012~3、4年ころのブックオフ(長野の)で早川コーナーにフィリップ・K・ディックだのハインラインだのの間に一冊くらゐあった。謎。

 サイバーな感じのナニがあったり、お子さんを作らんでいい所で子作り~出産する犯罪者が出たり、水を独占する都市と、搾取される田舎の話とかを展開。

 フル―テッドガールズ(遺伝子組み換へでなくて、その辺の娘さんを改造して楽器にする)とか、あるのだが、共通する世界を扱った小説のナニをソレする。

 WINDUP な世界。

 石油が枯渇してゐる。ので何となく石炭の方が注目され、その後、発条発電によるクロックワークな世界が展開。趣味で作られた、チェシャ猫と呼ばれる、物語設定的に実在するんだかわからんぬこ(光学迷彩レヴェルで体色が代る)が、繁殖しまくって鳥を取り尽くしてゐる。ほか、「ニッポン・ジーンハック・ゾウムシ」だの「象牙甲虫」だのが猛威を振るひ、タイ以外は大変なことになってゐる。

 そんなわけなので、百姓は作物を売る会社から穀物とかを買ふ。これはその凶悪な害虫が喰はない代り、不稔性らしい。で、発条巻係の(遺伝子組み換へ済)ゾウ、メゴドントの餌を作ってるところとメゴドント飼育組合がめちゃくちゃ強い力を持つ。

 遺伝子組み換へのデザインに除草があるらしい。さういふ稲が名前だけ出てくる。そんで以て秋津島では人造人間(出てくるのだが、都市伝説扱ひで語られる人造人間も出てくる)が作られその辺でコンパニオン的とかの目的で元気に働いてゐる。なんぞぎくしゃくしてゐる彼らは「WINDUP(ねじまき)」と呼ばれる。さらにお蚕さんが飼はれてゐるらしい。人造人間の人は、日本以外では何となく敬遠されてゐる。遺伝子組み換稲とかは、リアルな奴のお豆さんとかと同じ扱ひで登場する。

 一応アメリカあるけど、結構な文明圏はタイくらゐらしい(京都は文明圏ぽいけど)。

 東アジア系の文化を消化吸収したおっさんがアメリカ人向けに書く世界としたらこんなもんだと思ふ。

 

 第六ポンプ ポケットの中の法(ダルマ ひとy いいや)

 フル―テッド・ガールズ

 砂と灰の人々 なんか 共生虫のゾウムシが、説得力を持つ。謎。

 パショ

 カロリーマン 栽培植物の関係のナニ。

 タマリスク・ハンター 水の独占てあんた。

 ポップ隊 お子さんを作る犯罪者取締隊の話。

 イエローカードマン 恐るべきマレーシアの大虐殺から負け出てきた、嘗てのお大尽のおっさんがタイで何とかする話。そのぢぢいは『ねじまき少女』にまた登場。

 やわらかく 奥さんをアレする話

 第六ポンプ おバカになった世界でアレする話。

 『ねじまき少女』 タイでねじまき少女と謎の発条屋さんとそこの従業員とタイの守りの要がいろいろする話。

なんぞタームの関係でなんかあったらしいので

  魔使いの弟子

 SPOOK がなんなのかは不明。少なくとも、魔物に対してその辺のナニで対抗するものの呼称として使はれる。

 邦訳の際、「畑」と訳されてゐたタームは、そこで酪農をやってゐる関係で、文庫化に当たり「土地」となったさうである。

 毛唐はさういふわけで(中尾佐助説)、百姓は家畜を飼ふのがデフォなので、家畜の飼育が微妙な秋津島では、耕作地を訳す際、そこに家畜がもふもふしてると、ちょっと翻訳に逡巡が出るのである。

 「日本語大辞典」(全部買ひたい 書棚の肥やし以外の何物でもないが)によれば、“ひつじ”は、「養す獣(ひだすしし)」から、と言ふ説があるさうである。獣の養育が珍しかったとかの証左でいいらしい(あと「屠畜儀礼がひつじなので」「屠畜の際のひきたつしにから」「毛を刈った後に生える様が稲の孫稲(ひつじ)みたいだから」説が挙げられる)。

あとロバの輸入が異常に遅いと言ふのがあるらしい。

わんことぬこはー。『枕草子』で命婦(ぬこの名前)とか翁丸(犬の名前)とか出てくるのだがー。